2003 年 29 巻 2 号 p. 58-63
マツノザイセンチュウ寄生材に対する加圧注入処理用木材保存剤の効果を検討した。マツノザイセンチュウに汚染された4×9×100cmの辺材試験体にDDAC,CUAZ,ACQのいずれかを有効成分とする木材保存剤あるいは水を注入した。注入後,試験体内のマツノザイセンチュウ生存個体をベールマン法で抽出し顕微鏡下でその生存数を数えた。その結果,マツノザイセンチュウ生存個体は木材保存剤注入試験体からは見つからず,水注入材のみから発見された。この結果は,木材保存剤の加圧注入処理がマツノザイセンチュウ非汚染材の製造に有効であることを示す。薬剤浸潤度はDDACを除き100%以下であった。これらの結果は,マツノザイセンチュウを根絶するのに100%の浸潤度が必ずしも必要でないことを示唆する。