1962 年 15 巻 4 号 p. 179-182
化学療法剤耐性ブドウ球菌 (耐性ブ菌と略す) の検出率の増加と, それに伴なう耐性ブ菌感染症の増加は, 最近の化学療法ないし感染症の研究の上で重要な課題の1つとせられている。
このような耐性ブ菌, ことにPenicillin (PC)-G, 及びPC-V耐性ブ菌に有効な薬剤として, 生合成によつてえられた6-Amino-penicillanic acidを母核とした誘導体である2, 6-Dimethoxyphenyl PC (DMP-PC) が合成され, この注射用合成PCの有効性が内外におけるシンポジアムで証せられつつある。
われわれも最近経験した3例の耐性ブ菌感染例にDMP-PCを用いて著明な効果をみたので, ここにそれらの臨床経過を報告することとする。