抄録
スギ (Cryptomeria japonica D. Don) およびバルサ (Ochroma lagopus) 材を, 繊維方向にロールプレスすることによって横圧縮大変形し, 加工材に生じる形状変化および破壊を観察し, それらの程度および頻度を測定した。
加工材は, ロール表面との摩擦によってロール間隙に引き込まれ, 順次, せん断変形を受けながら圧縮された。走行方向に延展することはなく, 細胞内腔の体積減少によって厚さ方向に圧密化された。幅方向には若干伸長した。
過度のロール圧縮によって木材に生じる特徴的な破壊として, ワニ口破壊, 縦割れ, 表面割れ, 幅反り, 縦反り, 層はく離が確認された。ワニ口破壊, 縦割れ, 表面割れは, 材料厚さ, 圧縮率が大きい程, ロール径 (φ) が小さい程, その発生頻度が増加した。気乾状態のスギ材およびバルサ材において, ワニ口破壊, 表面割れの発生頻度は, 材料厚さ, ロールギャップ, ロール径から計算される圧入角 (θ) がそれぞれ8°, 12°以上で増加した。