抄録
相分離系変換システムにより調製されるリグノフェノールを用いて,リグノフェノールと木粉よりなる複合成形体を熱圧成形により作製し,それらの物性を評価した。
複合成形体の曲げ強さ及び曲げ弾性率は,圧締圧力の上昇やリグノフェノール配合量の増加にともない概ねは上昇したが,高配合量の高圧締圧力条件で低下し,その原因はリグノフェノール分子の熱的構造転換により生じる気体によるものと推察された。また,吸水率と吸水厚さ膨潤率は,リグノフェノール配合量の増加にともない低下し,吸水率は圧締圧力に,吸水厚さ膨潤率はリグノフェノールの物性に大きく影響された。
なお,成形時にNaClやCaCl2・2H2Oを少量添加することにより,曲げ強さや抗吸水性能は大幅に向上し,その効果は,CaCl2・2H2Oの添加がNaClの添加に比べて高い結果となった。