木材学会誌
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園芸療法用木製レイズドベッドのエルゴデザイン
高齢者の作業しやすい高さと奥行き
大釜 敏正野田 勝二桜庭 俊北条 雅章小宮山 政敏上田 善弘赤沼 智子寺内 文雄池上 文雄
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2007 年 53 巻 3 号 p. 149-156

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抄録
本研究の目的は,健常高齢者および障害を有する高齢者が楽な立位姿勢で園芸作業を行うことができる園芸療法用のレイズドベッドの設計に必要な基礎的なデータを求めることである。作業しやすい高さと楽に手が届く距離を,両手による植物の植え付け作業から求めた。得られた結果は以下のとおりである。(1)健常高齢者の作業しやすい高さは,男性では85 cmおよび90 cm,女性では75 cmおよび80 cmであった。作業しやすいおおよその高さは,肘頭下縁高から20 cm低い高さが目安となる。また,楽に手が届く距離は男女ともに20 cm~40 cmの範囲であった。(2)障害を有する高齢者の場合では,作業しやすい高さは70 cmが多かったが,80 cmのものとの間に感覚的には大差のないことが聞き取り調査から分かった。楽に手が届く距離は10 cm~45 cmの範囲であった。(3)したがって,健常高齢者および障害を有する高齢者の両者が作業しやすい奥行きは10 cm~40 cmとするのが望ましい。(4)多くの高齢者が低いレイズドベッドでの作業後に腰痛の可能性があると訴えた。障害のある高齢者は膝にも軽度の疲労があると訴えた。
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© 2007 一般社団法人 日本木材学会
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