抄録
スギ材の利用を促進するためには,原木と品質ニーズに対応できる乾燥技術が不可欠であり,近年乾燥が難しい心持ち材を対象に様々な技術開発と研究が行われた。特に高温処理を活用した割れの防止技術や乾燥の促進技術が開発され,現場への応用が進められている。一方で,乾燥材の品質向上と乾燥技術の高度化に資する,乾燥割れの抑制のしくみや,乾燥処理過程における木材挙動,乾燥材の強度等に関する研究も進められている。そこで,高温下での水分移動の促進,乾燥割れの抑制に関係する因子や,処理材の強度など,高温処理と関連することがらについて考察し,スギ心持ち材乾燥に関係する基礎研究の進展について概説した。