木材学会誌
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一般論文
加熱圧縮処理したスギ材の被削性の細胞レベルでの評価
大林 宏也桃井 尊央栃木 紀郎小林 純
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2007 年 53 巻 5 号 p. 262-268

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抄録
日本における主要な針葉樹材であるスギ(Cryptomeria japonica D. Don)は早材部の密度が低いので,早材部と晩材部との硬さの差が大きい。そのため切削をはじめとする機械加工において,加工面粗さが大きくなるなど種々の加工上の欠点が出現する。このような問題点を克服するために,スギ材を冷凍することによって早材部の硬さを晩材部のそれに近づける冷凍処理についてはすでに検討した。本報告ではこれと同様の効果が期待できる処理として,供試材を加熱した後に放射方向に横圧縮処理し,その後切削する際の被削性への影響について細胞レベルで検討した。得られた結果は以下のとおりである。1)圧縮率50%の加熱圧縮処理によって,早材部における細胞壁のほとんどが変形し,硬さが晩材部のそれ(HDD 60)に近くなった。2)圧縮率50%で加熱圧縮処理されたスギ材では,切削による切屑表面の細胞の横断面はU型を呈し,良質な加工面が得られることが確認できた。その効果は,放射組織付近や年輪界付近において特に顕著に現れた。3)スギ材の切削加工における表面粗さの問題を改善する方策の一つとして,加熱圧縮処理が有用であることがわかった。
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© 2007 一般社団法人 日本木材学会
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