抄録
茨城県内で採取したタケ(孟宗竹:Phyllostachys pubescens)の稈(カン)部分について,リグニンと構成糖の分析を行ったところ,リグニン含有量はユーカリ材とほぼ同量で,キシラン含有量はケナフ靭皮とユーカリ材よりも高かった。クラフト蒸解における脱リグニンの速さは,ユーカリ材と同等でケナフ靭皮よりも大きいが,パルプ収率はこれらより低かった。カッパー価20程度のタケ稈パルプの収率はスギ材パルプと同程度であった。タケ未漂白パルプの白色度はユーカリおよびケナフ靭皮パルプの白色度より高く,ヘキセンウロン酸含有量は少なかった。タケ稈パルプは酸素漂白においてもユーカリ材パルプおよびケナフ靭皮パルプよりも高い白色度を与えた。