木材学会誌
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一般論文
クリにおける木部繊維長および孔圏道管内腔径の水平変動と肥大成長段階との関連性
土屋 竜太古川 郁夫
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2008 年 54 巻 3 号 p. 116-122

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抄録

肥大成長段階と木部繊維長および孔圏道管内腔径の水平変動との関連性を調べるために,クリ(Castanea crenata)4個体の地上高別4箇所,合計16枚の円板を用いて,髄からの年輪番号に伴う木部繊維長,孔圏道管内腔径,累積年輪幅の変動を調べた。肥大成長段階は累積年輪幅の変動にゴンペルツ成長関数式をあてはめることで幼齢期,壮齢期,老齢期の3段階に分類した。非線形区分回帰分析法によって木部繊維長と孔圏道管内腔径の成熟齢を求めた結果,木部繊維長の成熟齢は孔圏道管内腔径よりも若く,肥大成長の幼齢期と壮齢期の境界齢に近似したのに対して孔圏道管内腔径の成熟齢は壮齢期と老齢期の境界齢に近似する傾向が認められた。これらの結果から,木部繊維長と孔圏道管内腔径の水平変動は肥大成長段階と関連することが示唆された。

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© 2008 一般社団法人 日本木材学会
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