2008 年 54 巻 4 号 p. 174-182
トドマツ製材とカラマツ合板を用いた道産I形梁の曲げクリープ特性を把握するために,調湿条件が異なる試験体の曲げクリープ試験を行った。試験体4体のうち各2体を20℃65%RHと20℃85%RHの2条件で調湿した。クリープ試験は温湿度が制御されない試験棟内で6年間行った。85%で調湿した試験体では,載荷直後の脱湿によりスパン中央のたわみが著しく増加した。その後もすべての試験体の変形は含水率変動に呼応し,低湿度の冬季で増加,高湿度の夏季で減少する傾向を周期的に繰り返した。85%で調湿した試験体では65%で調湿した試験体よりもたわみと含水率の変動幅が大きく,試験前の調湿条件が長時間経過後もたわみと含水率の挙動に影響を及ぼした。50年後の相対クリープは65%で調湿した試験体では約1.7倍,85%で調湿した試験体では約2.4倍まで増加すると予測された。よって,道産I形梁のクリープを抑えるためには,工場出荷から施工までの間に余分な水分を吸着させないように養生や保管に留意すべきである。