木材学会誌
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一般論文
熱処理したAPI接着剤の動的粘弾性分析(第2報)
PVOH水溶液とpMDIからなるモデルの観察
凌 楠堀 成人竹村 彰夫
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2009 年 55 巻 5 号 p. 293-298

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抄録

硬化後の熱処理条件が水性高分子-イソシアネート系木材接着剤(API接着剤)の動的粘弾性に与える影響を解明するため,その主剤の1つであるポリビニルアルコール(PVOH)水溶液と架橋剤のポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(pMDI)とを混合したモデル系で検討した。API接着剤と同様に未加熱の試料の貯蔵弾性率(E′)は150℃以上にピークが見られた。このピークは160℃以上で短時間熱処理を施すと小さくなった。これに応じて,赤外分光分析(FT-IR)スペクトルに変化が見られた。これらの傾向はAPI接着剤でのそれと一致しており,150℃以上でのE′の変化はAPI接着剤と同じ反応メカニズムに由来すると結論した。API接着剤での挙動と比較して,このモデル系の150℃付近のE′変化はより激しく,また140℃以上で2時間熱処理を受けたサンプルの高温側のE′値がわずかに増加した。これらの違いは主にスチレンブタジエン(SBR)ラテックスの有無及び架橋剤添加量の差異に由来すると考える。

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© 2009 一般社団法人 日本木材学会
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