2009 年 55 巻 6 号 p. 331-338
スギ材を有効に利用する目的から,最適な単板切削条件を見出すための基礎的な検討を行った。単板切削の全切削過程は,切取り厚さの変化によって,設定切取り厚さに達するまでの過程,設定切取り厚さで切削する過程,設定切取り厚さから0に変化する切削過程および切取り厚さ0で切削工具が被削材表面を滑るバニシング過程からなった。全切削過程における切取り厚さ,切削力,加工面プロフィル,工具送りおよび被削材回転を連続的に測定した。設定切取り厚さに対する切削力,すくい面摩擦角,逃げ面摩擦角および加工誤差の変化を分析した。単板切削の最小切取り厚さおよびバニシング過程でのバニシング力の発生機構を検討した。刃先角30°,刃先丸み半径が 1μm,逃げ角が 0°の場合,最小切取り厚さは0.2 mm近傍になった。またバニシング力は削り残しによって発生することが明らかになった。