木材学会誌
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一般論文
直パルス通電法を利用した新規な木質バイオマス急速熱分解装置の開発
菊池 光畑 俊充今村 祐嗣
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2009 年 55 巻 6 号 p. 339-345

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抄録

木質バイオマスからバイオオイルと木質炭素化物の2つの生成物を効率よく変換するため,直パルス通電法を取り入れた新しい急速熱分解装置を開発した。本熱分解装置の新規性は,直流の大電流を発生する特別なインバーター電源をもつ直パルス通電法を装置の熱分解部に適用した点にある。この電源を用いることにより,従来型の熱分解炉では起り得ない,木質バイオマス原料の粒子の間で微小時間内に放電現象が発生することが期待できる。熱伝導が良くなるように微粉末化した125-250μmの粒度の木粉を原料に用い,50 g/hの搬送量で直パルス通電により加熱したチタン製パイプヒーターの中に連続供給して,400-550℃の反応温度で熱分解実験を行った。熱分解温度が450℃の時に,最大値40%の収率でバイオオイルが得られ,このオイルの高位発熱量は16 MJ/kgであった。また,熱分解温度500℃で加熱した際,プラス電極に付着した木質炭素化物にリング状のグラフェン層をもつポーラスナノカーボンの形成を確認した。

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© 2009 一般社団法人 日本木材学会
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