木材学会誌
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カテゴリーI
窒化クロムコーティング工具の切削性能と摩耗特性(第2報)
スプルース柾目面回転切削で摩耗した工具の切屑生成能
土屋 敦藤原 裕子奥村 正悟
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2010 年 56 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
逃げ面側のみ窒化クロムで被覆した超硬合金工具(UP)の摩耗特性と切削性能を明らかにするため,スプルース柾目面の回転切削(回転径134 mm,回転数6000 rpm,送り 1 m/min)と,その回転切削で摩耗した工具による平削り(切込量を徐々に増加させるために被削面を順目方向に0.14°傾斜。送り 3 m/min)を行い,切れ刃の摩耗,平削りでの切屑生成能などを高速度工具鋼(HSS)および被覆なしの超硬合金(UH)工具と比較した。回転切削においてUPは常に鋭利な切れ刃を保持し,切削材長50 mでの刃先の丸み半径(R)はHSSの約 1/6,UHの約 1/2 であった。平削りの実験から,切屑生成過程は切削力の変化などから3段階に分類できること,切れ刃が被削材に接触し連続した切屑を生成し始めるまでの時間は常にUPが最も小さいこと,連続した切屑を生成し始める切込量とRは良好な直線関係を示すことなどが明らかになった。
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© 2010 一般社団法人 日本木材学会
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