木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
Print ISSN : 0021-4795
ISSN-L : 0021-4795
カテゴリーII
針葉樹葉油の水溶性とその植物種子発芽抑制活性および抗シロアリ活性
関根 伸浩澁谷 栄谷田貝 光克
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 58 巻 1 号 p. 44-53

詳細
抄録
クロマツとスギの葉油とその構成成分の水溶性と生物活性,加えてこれらの関係性を検討した。水溶性については,クロマツ,スギ葉油の水への溶解量はそれぞれ26.2,21.9(mg/L)となり,α-,β-pineneは,それぞれ1.7,2.1(mg/L)を示した。一方,α-terpineol,terpinen-4-olの溶解量は,それぞれ70.7,81.1(mg/L)となり,葉油とモノテルペン炭化水素のそれより高い値を示した。植物種子発芽抑制活性は,ハツカダイコンへのクロマツとスギ葉油,α-terpineol,terpinen-4-ol(濃度5 ppm,播種1日後)の発芽率はそれぞれ11.9,4.8,0,2.4(%)と低く,活性が示された。ヤマトシロアリへの殺蟻活性も,クロマツとスギ葉油,α-terpineol,terpinen-4-olの半数致死量はそれぞれ60.3,34.8,8.6,6.3(ppm)となり,活性が示された。葉油とその構成成分は,水溶性が高くなるとその生物活性は高くなり,さらに,葉油の水溶性と生物活性には,モノテルペンアルコール類の影響が推測された。
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本木材学会
前の記事
feedback
Top