抄録
スギ実大材の曲げ方式のせん断破壊標準試験法の提案と純粋なせん断強度の推定を最終目標とし,その基礎研究として純粋なせん断強度が得られる試験体の試設計と逆対称4点曲げ試験によるせん断破壊試験を行った。設計は有限要素法(FEM)を用いた解析による評価で行い,スギ集成材の上下縁にダフリカカラマツ材を張り付けたスギ積層材に,支点,載荷点部にめり込み防止の木材ブロックを二次接着した試験体を製作した。試験においては,すべての試験体で曲げ破壊に先行してせん断破壊が試験体中央,中立軸位置で生じたことから,純粋なせん断強度が得られたと考えられた。試験に用いたスギ集成材のせん断弾性係数とせん断強度は,ロゼットゲージとFEM解析から得られたせん断ひずみを比較することにより求めた。得られたせん断弾性係数Gは軸方向ヤング率Eの1/15であり,せん断強度は4.4~5.7MPaであった。