抄録
ヤング率と曲げ強度といった構造材の強度特性間の確率論的な関係を利用すると,しばしば有益な結果がもたらされる。例えば,機械等級区分法の導入により合理的な基準強度の設定が実現された。実大材の強度特性間の2変量非正規分布データを解析するには,統計的で視覚的な表現方法が必要となる。確率楕円は指定された内包確率で2変量分布を描画する方法であるが,非正規分布には適さない。そこで,本報では非正規周辺分布を持つ歪んだ確率楕円の描画方法について報告する。この方法は,周辺分布に基づく等確率変換によって,通常の確率楕円を分位等価な非正規確率楕円に変換する。実大材の曲げ試験の蓄積データ群を用いた数値実験により検証したところ,楕円の内包確率の正確さ,無相関化変換された偏角に対する確率の均質性,およびデータ群間の比較性について,良好な性能を示すことが確認された。