2014 年 60 巻 2 号 p. 87-93
本報では一定の確率密度をもった非正規確率楕円(dNNE)の描画方法を報告する。dNNEは,換言すれば,内包確率が指定された確率密度等高線である。本研究の目的は,実大材のヤング率と強度といった2変量非正規分布に従うデータのモデル化および可視化の技術を開発することにある。2変量分布の確率密度等高線とその内包確率について数理的な検討を行い,dNNEを描画するための数値計算法を得た。この方法には,閉曲線に内包されるデータの確率を評価する手法を導入した。本法の妥当性を検証するため,実大材の曲げ強度試験の蓄積データ群を用いて数値実験を行ったところ,確率密度等高線としての適性,内包確率の妥当性,および2変量データの可視化について良好な結果が確認された。