抄録
本総説では,この四半世紀ほどの間に報告されたセルロース誘導体,特にセルロースエーテル誘導体,および若干のセルロースエステル誘導体の実験室レベルでの合成法について,位置選択的な保護基/官能基導入の観点からまとめている。具体的には,トリ-O-アルキルセルロースの合成法,交互置換O-メチルセルロースの酵素合成法,セルロース系ブロックコポリマーの合成法を挙げる。次いで,セルロース誘導体の置換位置の違いがその機能に与える影響について,メチルセルロースを1例として論じる。さらに,新しいブロック的メチル化セルロースからなる熱応答性ヒドロゲルの構造-物性相関について最近の知見をまとめている。