木材学会誌
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カテゴリーII
ヒノキ内装材の着色が視覚的印象に及ぼす影響
野上 英孝 河崎 弥生藤本 登留
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2014 年 60 巻 6 号 p. 319-327

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抄録

ヒノキ内装材の着色が視覚的印象に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,4種類のカラーパターンのヒノキ内装モデルを作製しSD(Semantic Differential)法による印象評価を行った。岡山県南部・北部の都市において不特定多数の市民を対象に調査を実施した結果,各内装モデルに対する印象評価傾向は地域・性別を問わず比較的近似していた。着色により内装モデルの明度が低下すると,無塗装モデルの「すっきりした」,「軽やかな」,「女性的な」印象は,「深みがある」,「重厚な」,「男性的な」印象へと変化した。因子分析により被験者の印象評価傾向に影響を及ぼす因子として『色の明度』や『個人的嗜好』等が抽出された。各因子間の相関係数が小さいことから,着色はヒノキに対する「落ち着く」,「好きな」等の主観的印象には大きな影響を及ぼさないと考えられた。また,比較的高齢な世代の被験者においては,経験的に馴染みのある印象に対する嗜好性が推察された。

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© 2014 一般社団法人 日本木材学会
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