木材学会誌
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総説
地域木材産業の現状とこれから
伊藤 貴文
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2015 年 61 巻 3 号 p. 105-110

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抄録
大量消費の時代の終焉を迎え,長らく需要が低迷している昨今の状況下で,横並びの製品は価格競争に巻き込まれ,規模が大きく生産性が高い事業所のみが生き残るという形で,企業の淘汰が進んでいる。そのような中で,健全な経営をしている奈良県内の小規模な木材関連企業3社に照準を合わせ,各社のものづくりや製品開発などの企業活動を通して,「成功の秘訣」を探った。結論から言えば,消費者や社会のニーズを的確に掌握し,それに基づいて他と差別化した付加価値の高い製品を作ること,そのための技術開発を継続的に実施すること,その際には,国や自治体の補助事業を活用し,公設試や大学の技術シーズやノウハウをうまく利用することが重要と思われた。さらに,特化した技術を保有する企業同士が連携を図るという形で産業の集積ができれば,生き残りをかけた競争において,それは大きな強みとなるであろう。
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© 2015 一般社団法人 日本木材学会
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