木材学会誌
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総説
木材産業の将来展望
2030年の木材需要を見据えて2020年東京五輪を考える
井上 雅文
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2015 年 61 巻 3 号 p. 97-104

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抄録
日本の木材自給率は戦後の資源政策と都市建築政策によって著しく低下した。しかし,最近では,地球温暖化対策が牽引する木材利用促進政策によって国産材利用が増加しつつある。一方,将来の新設住宅着工戸数の減少などから,2030年の木材需要は約4850万m3まで減少すると予測された。今後,木材産業が現在の規模を維持し,国産材利用を拡大するためには,新規需要と海外マーケットの開拓が必要となる。木材自給率および木材自給力は,それぞれ約1750万m3,950万m3の木材輸出によって,100%を達成できる可能性が示唆された。木材輸出においては,木材が国際流通商品であることを意識し,コストや認証などの観点から国際競争力を有する木材製品の生産,ジャパンクオリティーの確立,積極的なプロモーションが重要となる。そのためにも,2020年東京五輪を貴重な見本市と位置づけ,日本の木材や木造建築に関する意識,知識,技術の高さを内外に誇示する有効な機会とするべきである。
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© 2015 一般社団法人 日本木材学会
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