2015 年 61 巻 6 号 p. 371-378
前報の実験及び解析の結果から,既報の非線形最小二乗法を用いた手法により推定されたエレメント強度分布には,積層の影響が含まれていることが分かった。そこで,本報では,1plyの強度試験結果を基に積層効果を含むエレメント強度値を求め,エレメント強度分布の推定値と比較を行うことにより,非線形最小二乗法による推定手法の有効性について検討した。その結果,引張強度,圧縮強度及び縦使い方向の曲げ強度については,非線形最小二乗法による推定手法は有効と考えられる。平使い方向の曲げ強度のクライテリアを引張応力による破壊と仮定した場合も,非線形最小二乗法による推定手法は有効と考えられる。ただし,クライテリアを複合応力形式による破壊と仮定した場合,既報の推定手法が有効かどうかは分からなかった。