木材学会誌
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カテゴリーII
宮崎県椎葉村における伝統的木材利用樹種の物理的・機械的特性および耐久性評価
内海 泰弘 椎葉 康喜村田 育恵安田 悠子古賀 信也永井 智井上 晋
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2017 年 63 巻 2 号 p. 73-85

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抄録

生活圏内の樹木を用いた伝統的な生活を維持してきた宮崎県椎葉村において,地域に生育する樹木とその木材利用に精通した4名のインフォーマントから伝統的利用樹種の木材特性について聞き取り調査した。その結果,99樹種における靭性,割裂性,狂い,割れ,耐摩耗性,硬さ,切削性,燃焼性,耐朽性についての評価を得た。木材として総合的に最も評価が高かった樹種はカヤとコウヤマキであり,イチイとケヤキが次に高い評価を得た。針葉樹は広葉樹と比べて評価の高い樹種の割合が高く,広葉樹の中では高木が低木よりも高い評価を得る樹種が多かった。これらのインフォーマントからの聞き取り調査で得られた評価と既往の文献における木材特性データで相関が認められたのは,聞き取りによる靱性,切削性,割裂性,硬さ,耐摩耗性,燃焼性それぞれと気乾密度,聞き取りによる硬さとブリネル硬さ,聞き取りによる耐朽性と耐腐朽性であった。

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© 2017 一般社団法人 日本木材学会
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