2017 年 63 巻 4 号 p. 176-182
トレファクションチップの炭化の程度を正確かつ簡便に得る方法を開発する目的で,半炭化処理された木材の重量減少と色彩の関係を検討した。29mm×29mm×5mmの全乾状態の試験体を温度200, 230および250℃,保持時間0-360分の条件で加熱した。加熱前後で色彩測定を行い測色値L*, a*およびb*を得た。その結果,加熱後は,まさ目面,板目面および木口面において心材と辺材の結果は重量比(加熱後全乾重量/加熱前全乾重量)に対して同一の曲線上に存在すると見なすことができた。炭化の程度を示す指標としてはL*,L*+a*およびL*+b*が適当であった。トレファクションチップの半炭化の程度を色彩測定から推定する際に,試験体として心材と辺材を区別することなく両方を使用できることが分かった。しかしながら木取り面によって早晩材のパターンが異なることから色彩試験に用いるチップの木取りを決めておく必要がある。