2018 年 64 巻 1 号 p. 28-35
紫外線波長の短パルスレーザ(UVレーザ)を利用し,木材の表面に微細なインサイジング加工を施した。このインサイジングを利用して木材の表面に樹脂を含浸し,表層を木材・プラスチック含浸複合材とすることにより強度物性の向上を試みた。UVレーザは,木材の表面の美観を損なうことなく極めて多くの穿孔が可能である。この点に着目し,667個/cm2のインサイジングを施したところ,常圧下の塗布操作あるいは僅かな減圧操作であってもレーザによる穿孔深さまで樹脂の浸透が得られ,顕著な物性の向上が確認できた。アクリル樹脂を用いた場合,質量基準による固形分としての含浸率はスギの辺材とカラマツの心材でそれぞれ66,53%となり,ブリネル硬さはそれぞれ6倍以上,4倍以上に向上し,衝撃試験による圧痕深さはともに1/4以下に減少した。また,一般的な塗料などの樹脂を適用しても一定の性能の向上が認められた。