木材学会誌
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総説
リグナンOMTに関する最新研究動向
梅澤 俊明 山村 正臣小埜 栄一郎白石 慧サフェンドリ ・ コマーラ ・ ラガムスタリ
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2019 年 65 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

リグナンは代表的なフェニルプロパノイド系二次代謝産物である。リグナンの化学構造は多様であり,取分け芳香核のメトキシ基の置換様式の多様性が代謝最終産物の構造多様性賦与に大きく効いている。我々はリグナンのフェノール性ヒドロキシ基のO-メチル化を触媒する,いわゆるリグナンO-メチル基転移酵素(OMT)をコードする 遺伝子(cDNA)を従来6種取得してきた。さらに,近年Podophyllum hexandrumから2種のリグナンOMT遺伝子の取得が報告された。これらのリグナンOMTのアミノ酸配列は多様であり,また反応の基質特異性や位置選択性において多様であることから,リグナンOMTは個々の植物種において収斂進化的に進化してきたことが推定される。このことは,今後,有用生理活性リグナンの合成生物学的生産を含め,より詳細なリグニン生合成研究を進めるにあたり,一つの指針を提供すると考えられる。

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© 2019 一般社団法人 日本木材学会
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