木材学会誌
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カテゴリーI
ヒノキ材の平削り面における毛羽立ちの生成機構の考察と定量評価
古川 隼人 藤原 裕子簗瀬 佳之澤田 豊藤井 義久
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2019 年 65 巻 2 号 p. 63-70

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抄録

年輪接触角φを変化させて気乾ヒノキ材を平削りした際に生じる毛羽立ちについて,画像解析と顕微鏡観察から生成機構を考察すると共に,切削時に検出されたAEから毛羽立ちの定量評価が可能か検討した。仕上面の画像上で白塊として認識される毛羽を画像処理で抽出し,毛羽立ちの程度を毛羽の面積率として定量評価できた。φに対して毛羽の面積率は下に凸の形状に変化し,その値は刃先角によらずφ=0°で最大値(6-10%)を,φ=45°付近で最小値(3-4%)をとった。SEM観察から,毛羽は放射組織の近傍で掘り取られ切屑として分離できなかった細胞群が刃先に押し潰される等して一塊となり,刃先通過後に回復して浮き出たもので,その生成には放射組織での局所的な切削形態の変化が関与することが示唆された。また切削時のAE事象数と毛羽の面積率との間には正の相関が認められ,切削時のAEから毛羽立ちの程度を評価しうることが示された。

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© 2019 一般社団法人 日本木材学会
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