2019 年 65 巻 4 号 p. 201-211
MDFは加工性・均質性・環境性能に優れた木質系面材料であり,その構造利用が望まれている。しかし構造利用される時に想定される釘一面接合部の性能については基礎データが不足している。基礎データの収集を目的として主材の樹種(スギ,ヒノキ,ベイマツ),MDFの厚さ(9,12,15,18,21,24mm),釘種類(N50,CN50,CN65,CN75)をパラメータとして釘一面せん断試験を実施した。降伏モードはMDFと製材のそれぞれの支圧耐力の差が大きいかによって決定し,破壊モードはMDFの釘頭貫通力と製材の釘の引抜耐力の大小で決定した。釘接合部の降伏耐力は釘の長さ,径が大きいと上昇し,用いた製材の支圧強度にも影響が見られた。靱性特性はMDFの釘頭貫通力と製材の釘の引抜耐力の小さい方で決定されるため,その二つの耐力が近い時に最も高いという結果になった。