2020 年 66 巻 3 号 p. 148-160
引張強度の非常に大きいタケと有効活用されているとは言えない間伐材を組み合わせて接着積層板をつくり実用の可能性を探ってきた。ヒノキ板を2枚突き合わせタケを当て板とし,片面当て板接着継手と両面当て板接着継手を製作した。継手の引張強さを調べる目的で当て板の厚さを2種類にして合計4種類の継手を製作した。継手に引張荷重を作用させ,それぞれの破断荷重値の分布を比較した。またいずれの継手も有限要素法で内部応力の大きさを調べた。その結果,両面当て板接着継手の破断荷重値は片面当て板接着継手のそれと比較して大きく,当て板の厚さの影響は小さいことがわかった。これに対し片面当て板接着継手では破断荷重の大きさに当て板の厚さのおよぼす影響が大きいことがわかった。この原因は非対称の継手では引張作用下で,当て板周辺部が曲げられるが,当て板の厚さが異なることで曲げの大きさの違いを起こし,接着剤層に生じる応力の大きさに差異をもたらすことで破壊の起点となるき裂の発生に影響をおよぼしていることがわかった。