2021 年 67 巻 1 号 p. 50-59
木製天板などに用いられる幅はぎ集成材の柄合わせ工程は職人の手作業に頼っており,数値化が求められている。本研究では,柄合わせ後の視覚的な不均一さを塗装前に測定したエレメントの特徴量から説明することを試みた。まず,個々のエレメントに切削,研磨,および塗装を施した際の画像解析を行った結果,塗装後の明暗とコントラストは切削後の値から十分予測できることが明らかとなった。次に,参加者による柄合わせパターンの作成実験を行い,得られた60種類を多重解像度コントラスト解析と主成分分析に供し,さらにクラスター分析によって分類した。その結果,柄合わせにはエレメント間コントラストが最重要であることが示唆され,このエレメント間コントラストは隣接するエレメントの明暗の差によって精度よく説明することが可能であった。したがって,塗装後の幅はぎ集成材の視覚的な不均一さは塗装前のエレメントの明暗から予測できる可能性がある。