2021 年 67 巻 2 号 p. 100-108
直交集成板 (CLT) における直交接着層 (直交層) の接着強度を評価するために,直交層のねじり試験,JAS 3079に拠るブロックせん断試験,繊維方向に対して45度の方向から加力したブロックせん断試験の3つのせん断試験を行った。その結果,いずれの試験においても,使用する接着剤の違いによるせん断強度の差異はないこと,試験片の気乾密度とせん断強度に正の相関があることが示された。試験片の気乾密度とせん断強度の回帰直線より得られるせん断強度を比較すると,JASブロックせん断試験によるせん断強度は,ねじり試験による強度の45~57%であったが,45度ブロックせん断試験によるせん断強度は,ねじり試験による強度の90~94%の値になった。45度の方向から加力したブロックせん断試験は,JASブロックせん断試験と比べて,ローリングシアー破壊や加力点および支点でのめり込みが生じにくく,接着層の近傍での破壊が生じやすくなること,汎用的な試験装置で実施が可能であることから,直交層の接着性能を評価する手法として有用であることが示された。