2021 年 67 巻 4 号 p. 217-222
本研究では,製紙用パルプの製造法として,環境負荷の小さい無塩素漂白を提案する。蒸解性の良好な樹齢12年のユーカリ・グロブラス材からクラフト蒸解と酸素漂白法を用いて実験室でパルプを調製し,漂白性を検討した。一方,比較としてユーカリ・グロブラスとアカシア材混合チップを原料とする工場製酸素漂白クラフトパルプについても検討した。新規な漂白方法として,酸素 (O) 漂白,モノ過硫酸 (Psa) 処理とアルカリ性過酸化水素 (Ep) 処理を用いるO-Psa-Ep- Psa-Epの5段漂白シーケンスを採用し,白色度89-90%ISOの漂白パルプが得られることを示した。さらに,重要な最終品質のパルプ粘度を改善する方法として,Psaに微量の二酸化塩素を混合して漂白を行う方法を提案する。