2022 年 68 巻 2 号 p. 61-65
木質接合部の力学性能は試験により評価できるが,耐力発現機構を知るためには別途解析が必要である。筆者はこれまでに理論的な解析を試みてきており,具体的には,耐力発現の力学モデルを構築し,それに基づいて接合部(あるいは耐力壁)の力学挙動の理論的推定式を導いた。試験結果が推定結果と一致する事を確認し,仮定の妥当性を検証した。これを可能にするのが,(1)接合部での局所的な変形の幾何学的表現と(2)要素レベルでの力学的応答の解明である。本報ではこれに関わる具体的な内容について,筆者の取り組みを中心に概説する。