おおよそ,半世紀前に林業試験場が木材の素材耐久性を調べる目的で実施した杭の耐久性評価結果が製材の日本農林規格等に反映されている。しかし,このときの手続きを検証したところ,試験杭の平均耐用年数に基づき耐久性を判断し,試験杭の本数やばらつきを考慮していなかったことが判明したため,このときの心材杭の試験データを生存時間分析の手法で再評価した。その結果,各心材杭の生存曲線は,杭の耐久性がすべて低い樹種,全て高い樹種,杭によって耐久性に大きなばらつきがある樹種など,樹種によって劣化の傾向に差があることを示した。そこで,樹種の耐久性を検定した結果,耐久性が高いとされているヒノキやヒバよりもコウヤマキの耐久性が高いことや,スギやカラマツの耐久性とヒノキやヒバの耐久性との間に差があるとは言えないこと,心材の耐久性区分D1の樹種の耐久性とD2の樹種の耐久性間に差があるとは言えない例があることなどが明らかになった。