2023 年 69 巻 1 号 p. 30-40
難燃剤として耐溶脱性のリン酸アミノ樹脂系薬剤または国内で内装用に使用されるリン系・ホウ素系混合薬剤を用いた薬剤処理木材について,国内3地点で10年間の屋外暴露を行った。試験の結果,暴露10年後の処理木材は,既往の暴露5年後までと同様にリン酸アミノ樹脂系薬剤の残存薬剤固形分量が多く,燃焼抑制作用の低下が少ないことが分かった。また,暴露5年後から10年後における無塗装処理木材の燃焼抑制作用の低下は,暴露5年後までと比べて緩やかであった。それらの処理木材にフッ素樹脂系塗料をポリブタジエン樹脂系塗料と組み合わせた塗装は,燃焼抑制作用の維持効果が得られ,リン酸アミノ樹脂系薬剤を用いた処理木材では当初の燃焼抑制作用を10年間維持する可能性があることが分かった。また,リン系・ホウ素系混合薬剤を用いた無塗装及び塗装処理木材では,暴露地間で差異が見られ,原因として暴露台の設置状況の影響が考えられた。