2023 年 69 巻 3 号 p. 109-116
スギ(Cryptomeria japonica)の木材は,建材や家具,伝統工芸品などに広く使用される。しかし,スギの葉は,ほとんど使用されることなく,廃棄されてしまう。本研究では,水を溶媒とする2段階温熱水パーコレーションによる秋田スギ葉抽出物の生理活性をin vitro試験とヒト皮膚ケラチノサイトHaCaTを用いた細胞試験で評価した。スギ葉の抽出液は,in vitroの抗酸化活性及びポリフェノール量のいずれも180 ℃抽出液が優れていた。また,HaCaTを過酸化水素や紫外線に暴露して酸化ストレスを誘導した場合に,80 ℃抽出液でも抗酸化性が認められたが,180 ℃抽出液の方が優れた抗酸化性を示した。したがって,2段階温熱水パーコレーションにより,特に180 ℃熱水抽出液中に秋田スギ葉における抗酸化性に優れた成分を溶出できることが示唆された。