2023 年 69 巻 4 号 p. 147-154
木琴には貴重な熱帯産広葉樹材が使用されている。木琴音板の形状がたわみ振動に与える影響を考え,熱帯産広葉樹の代替材としての里山広葉樹の活用の可能性を検討した。特に,1次と3次および5次のたわみ振動モードに着目し,振動の立ち上がり部分とその後の減衰に関してローズウッドと里山広葉樹材とを比較した。振動開始直後には1次,3次および5次のたわみ振動が励起し,3次と5次の振動はすぐに減衰した。3次振動モードの振幅は1次振動モードの振幅に対して大きく,中央部を削った木琴音板の形状では1.5~2倍であった。削っていない矩形型音板の5次振動モードの振幅は1次振動モードの4分の1程度に対して,木琴音板形状では2分の1程度であった。ローズウッドの1次振動モードの対数減衰率は里山広葉樹材に比べて小さく,振動の減衰の点では里山広葉樹材での代替は難しい。