2023 年 69 巻 4 号 p. 155-167
木質床の違いが靴下履きでの歩行に及ぼす影響を明らかにするため,床仕上げ材と床下地材を2種類ずつ組み合わせた4通りのモデル床ならびに対照(コンクリート+ビニル仕上げ材)の床において下肢表面筋電図と足底圧力分布を指標とした被験者歩行実験を行った。凹凸があり滑りにくいスギ・表面圧密化仕上げ材は平滑で滑りやすいヒノキ・セラミック塗装仕上げ材に比べ歩行時の筋活動量比(モデル床での筋電図積分値を対照との比で表した値)が小さく,下肢の負担を低減することが分かった。低剛性の根太+15 mm厚合板下地材では高剛性の24 mm厚合板床下地材と比べ仕上げ材間の差が小さいことから,床下地材の剛性が筋活動量比に副次的に影響することが分かった。足底圧力分布では,根太+15 mm厚合板下地材条件下のスギ・圧密化仕上げ材で足底全体の荷重比が有意に高く,低剛性の下地材は凹凸のある床仕上げ材を歩行しにくくすることが明らかになった。