2024 年 70 巻 3 号 p. 83-93
木材の曲げ強度性能は力学試験を実施すると調べることができ,その際に曲げヤング率や曲げ強度等は一般的に用いられる。これらの特性値は専門家にとっては基本的な知識であるものの,いずれも高等教育機関等で学習する内容である。現在は地域の森林を活性化するために地域の人々が木材の強度性能を知ろうとする機会があるが,そこで示される試験結果は,必ずしも非専門家にとって容易に理解できるものではない。一方,他の業界では,様々なモニタリング結果を一数値に縮約した指標を提示し,非専門家であっても値の大小の比較で状況判断できる工夫が見られる。そこで本研究では,木材の曲げ強度性能を総合的に示す新たな指標の作成を試みた。曲げヤング率と曲げ強度に基づく主成分分析を行い,第一主成分得点を新たな指標とした。この指標を用いることで,木材試験体が有する曲げ強度性能について,文献値との比較を簡易に行うことが可能となった。