2024 年 70 巻 4 号 p. 120-124
木材加害甲虫類は材内で加害し生活するため,直接観察が困難であり,その生活史や食害行動に関する知見が不足している。外部刺激を最小限に抑え,自然に近い状態で材内の昆虫の発育過程や食害行動を解析するためには,非破壊的手法の適用が有効と考えられる。本稿では,木材加害甲虫類のうち竹材の主要害虫であるチビタケナガシンクイを例とし,X線コンピュータ断層撮影(CT)およびアコースティック・エミッション(AE)モニタリングの二手法によってその生活史および食害行動を明らかにした筆者の取り組みについて概説する。