2025 年 71 巻 2 号 p. 51-57
新品種ON206 (Pleurotus eryngii × Pleurotus nebrodensis) の培養特性を明らかにするために,菌糸体の栄養生長に及ぼす培地pH,炭素源,窒素源,光照射の影響について検討した。至適初発pHは5.6であり4.0~8.9の広い範囲で成長が可能であった。炭素源はデンプンが最も良好な成長を示し,添加濃度15%までは濃度の上昇に伴い得られる菌糸体量も増加した。窒素源はイーストエキスが最も良好な成長を示し,また,無機態窒素よりも有機態窒素の方が菌糸体の成長に有効である傾向が見られた。光はON206の菌糸生長に影響を与え,青色光は菌糸伸長を抑制し,菌糸密度を増加させる傾向が見られた。本研究により,新品種ON206の基本的な培養特性が明らかになり,栄養要求性と光感受性に関しては母系であるP. nebrodensis MS564に近い傾向を示した。