木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
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71 巻, 2 号
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カテゴリーII
  • 野上 大樹, 高畠 幸司, 江口 文陽
    2025 年71 巻2 号 p. 51-57
    発行日: 2025/04/25
    公開日: 2025/04/26
    ジャーナル フリー

    新品種ON206 (Pleurotus eryngii × Pleurotus nebrodensis) の培養特性を明らかにするために,菌糸体の栄養生長に及ぼす培地pH,炭素源,窒素源,光照射の影響について検討した。至適初発pHは5.6であり4.0~8.9の広い範囲で成長が可能であった。炭素源はデンプンが最も良好な成長を示し,添加濃度15%までは濃度の上昇に伴い得られる菌糸体量も増加した。窒素源はイーストエキスが最も良好な成長を示し,また,無機態窒素よりも有機態窒素の方が菌糸体の成長に有効である傾向が見られた。光はON206の菌糸生長に影響を与え,青色光は菌糸伸長を抑制し,菌糸密度を増加させる傾向が見られた。本研究により,新品種ON206の基本的な培養特性が明らかになり,栄養要求性と光感受性に関しては母系であるP. nebrodensis MS564に近い傾向を示した。

カテゴリーIII
  • 井道 裕史, 加藤 英雄, 小島 瑛里奈, 松村 ゆかり, 松田 陽介, 山下 香菜
    2025 年71 巻2 号 p. 58-66
    発行日: 2025/04/25
    公開日: 2025/04/26
    ジャーナル フリー

    スギ寸法型式210を用いて,枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格に対する各種ヤング係数と曲げ強度を評価した。丸太のヤング係数を測定することによって,スギ寸法型式210のヤング係数を概ね把握できた。現行のMSR(Machine Stress-Rated)枠組材における品質管理の方法であるグレーディングマシンによるヤング係数の測定を,縦振動法や曲げたわみ振動法による動的ヤング係数の測定で代替できることがわかった。エッジワイズの曲げ試験の結果,スギ寸法型式210はほとんどの試験体が甲種特級に区分され,このうち大部分の試験体が甲種特級の基準強度を満たすことが示唆された。丸太を縦振動法によるヤング係数により選別した結果,得られた材のMSR等級は横架材として利用できる程度に高く,丸太選別の効果が明らかとなった。

  • 乾燥無垢スギ材に含まれる主要テルペンの GC-MS (gas chromatography-mass spectrometry) 分析
    谷 和樹, 伊佐 亜希子, 藤田 弘毅, 藤本 登留, 芦谷 竜矢, 清水 邦義
    2025 年71 巻2 号 p. 67-77
    発行日: 2025/04/25
    公開日: 2025/04/26
    ジャーナル フリー

    近年の新型コロナウィルスの世界的流行は,住環境へのニーズにも大きな影響を与えている。スギ(Cryptomeria japonica) 材を建材(内装材や構造材)として活用する場合,材の物理・化学的性質によって様々な効能を示すことが知られている。これまでにC. japonicaに関する日本農林規格 (JAS) が制定した法律は,材面の品質や保存処理を規定するようなものであり,人に対する材の生理的な機能性について述べる際に不可欠であるテルペン量に着目した定量分析方法は,現時点で存在しない。そこで,C. japonica材の付加価値を高めるために,材に含有する機能性関与成分を対象とした定量分析法のJAS化が有効な手段であると位置づけた。JAS制度を活用し,スギ材の更なる需要を高めるための端緒として,本研究では,ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて,材に含有される機能性関与成分の定量分析JAS法案を開発した。

  • 廣瀬 孝, 遠田 幸生
    2025 年71 巻2 号 p. 78-87
    発行日: 2025/04/25
    公開日: 2025/04/26
    ジャーナル フリー

    スギを原料として賦活条件を変えることで収率の異なる活性炭を作製し,それを用いて電気二重層キャパシタを製造した。その結果,スギを原料とした活性炭の比表面積,ミクロ孔容積およびメソ孔容積は,収率が低くなるに従って大きくなる傾向があり,それぞれの決定係数は高い値を示した。また,ミクロ孔分布およびメソ孔分布は,収率の違いにより,その分布のピーク値が大きい細孔側にシフトすることが分かった。一方,0.6~0.7 nm前後のミクロ孔が静電容量の初期値を高める可能性を有することが分かった。また,耐久性試験の結果,市販活性炭と比べて静電容量は同等,内部抵抗は低い性能を有することが判明した。

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