福祉社会学研究
Online ISSN : 2186-6562
Print ISSN : 1349-3337
自由論文
ダルクにおける薬物依寄からの囲復に関する社会学的考察
「今日一日」に焦点をおいて
相良 翔
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2013 年 10 巻 p. 148-170

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抄録

本稿の目的は,ダルク(DARC:Drug Addiction Rehabilitation Center) 在所者・スタッフによって語られる薬物依存からの回復について,ダルク のスローガンとなっている「今日一日」を焦点にして考察を試みることで ある. ここで使用されているデータはX/Yダルクにおいてのフィールドワー クによって得られたものである.Xダルクは大都市圏に位置し,比較的古 くに創設されたYダルクも大都市圏に位置し,近年に創設された筆者 は共同研究の一環として2011年4月からX/Yダルクにおいてフィー ルドワークを行っている. 分析の結果「今日一日」は薬物依存からの回復を語る上で重要な「時 間の感覚」 として存在していることがわかった.具体的に言えば, 1) 「今 日一日」 のもとで生活することにより「過去」や「未来」に対する不安 を軽減し,クスリを止めている「現在」に繋がったこと, 2) その「現在」 の積み重ねにより「過去」から「現在」,「現在」から「未来」という時間 の流れを取り戻したこと, 3) ダルクという空間外でも「今日一日」のも とで回復の語りを展開する可能性を持つこと,以上の3点を明らかにした.

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© 2013 福祉社会学会
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