阪神・淡路大震災以来, 「NPO法」という支援主体に関わる法整備や,
ボランティアを組織化する「災害ボランティアセンター」など,ボランティ
アの制度化が進んだ.東日本大震災は,ボランテイアの制度化の下での(支
援)がなされた大規模な災害であったが,それゆえ制度化の当否をめぐる
論議を引き起こした.そこでの論点はボランティアの制度化がその自発
性を損ない,かつボランティア活動の自粛と不活発化を招いた, というも
のだった.だが,批判の根拠であったボランティア数の少なさは,制度的
ボランティアの数でしかなくボランティア活動の総体といえなかった.
本稿の立場は,制度化の現実を踏まえた上で,ボランティア活動の多様性
をいかに担保していくかというものである.そのためにも,ボランティア
活動の総体を把握する重要性を主張する.また, (支援)に関与するアク
ターが,中央政府/地方政府-NPO/NGO一企業体と多岐に渡ってい
る現状を踏まえて,諸アクター間の協同がどうであったかを分析する.以
上から,内閣官房内に設置された震災ボランティア連携室に着目し,いか
なる〈支援)が実現できたかを記述した.また,NPO/NGOなどの(支援〉
主体が,復興とは関係のない公的資金によって支えられている現状を指摘
し,脆弱なガバナンスによって〈支援〉がなされている問題を指摘した.
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