福祉社会学研究
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【特集Ⅰ】「市民」の境界と福祉――「非-市民」と「部分的市民」から考える
外国人の「シティズンシップ」
行政運用と社会運動の間に生まれる市民権
丹野 清人
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2019 年 16 巻 p. 13-31

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抄録

  憲法上は日本にも外国人の人権はある,ということになっている.ただし,

外国人の人権は日本人のそれとは大きく異なる.在留資格の中で,職業選択の

自由も,住居の選択の自由も制限がかかることを当然のこととしており,日本

人であればありえない自由の制限は予定されている.「自由」の意味が国民で

ある日本人とは全く異なっているのだ.人の得ることができる「自由」の意味

が異なるということは,自由を保障するシティズンシップもまた,日本人と外

国人とでは異ならざるを得ない.

 しかし,その一方で,外国人の人権があることは日本でも自明のことである

から,様々な社会福祉の対象に外国人が俎上にのることは当然であるのだ.本

稿は,どのようにして外国人が具体的な社会福祉の課題の対象になってきたの

かということから,外国人の「シティズンシップ」を考察する.生活保護や児

童扶助等の福祉に行政がどのように取り組まなければならないとされてきたの

かを,行政の運用の問題として捉え,行政運用の中に成立する福祉の供給を「運

用上のシティズンシップ」として検討していく.

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