福祉社会学研究
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Print ISSN : 1349-3337
┃特集論文Ⅰ┃福祉社会と〈声〉の政治
強制不妊手術はどのように「問題」化されたのか
「声にならぬ声」をめぐって
土屋 葉
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2025 年 22 巻 p. 29-

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抄録

本稿では旧優生保護法の下での強制不妊手術という「問題」が,どのように立ち上がって来たのか,とくに当事者がどのような「声」をあげ,その「声」がどのようにすくいあげられてきたのか/こなかったのか,その「声」が社会・政治にどのような影響を与えたのかを明らかにすること,これにより現状と残された課題を浮き彫りにすることを目的とする. 1960 年代から旧優生保護法にすら反する「子宮/卵巣摘出」の手術をされた被害者によるつぶやきが,1970 年代からは障害のある女性たちの集会での発言や議論があったが,これらはおおむね抑制されていた.2018 年から始まった旧優生保護法訴訟により被害者の「声」が聴かれることになり,ようやく社会において,強制不妊手術による被害が「問題」であると認識されるようになった. 裁判に関わるメディア報道では,本来は多様であった被害者たちの「声」から「子をもつことを奪われた」という悲嘆の「声」が偏向して取り上げられてきた.もちろん,国や社会が動くにはあるトーンの「声」が必要であったことは否定できない.しかしその足元には,優生思想やジェンダーに関する「危うさ」がある.今必要とされているのは,多様な「声」や未だ存在する声にならぬ「声」を見過ごすことなく,その「声」をあげる主体をとりまく状況・政治に目配りしながら,この「問題」について考えつづけていくことである.

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