2025 年 22 巻 p. 57-
本稿では,慢性的な病気や障害,精神的な問題や依存症などを抱える家族の世話をしている 18 歳未満の子どもや若者を指す「ヤングケアラー」という切り口から,“大ごと”にならないサポートの仕組みを作っていく方向性を考察する.日本において,「ヤングケアラー」という言葉は 2014 年から社会で注目されるようになり,2018 年頃から国や自治体の政策として取り上げられるようになった.本稿では,2018 年から厚生労働省やこども家庭庁が毎年実施してきたヤングケアラー関連の調査を紹介し,「親が育てることができない子ども」や「子どもに障害があるケース」を対象にした従来の「児童福祉」のあり方では,ヤングケアラーやその家庭にとって支援につながる抵抗感が強いことを論じる.こども家庭庁は,2024 年 4 月以降,「こども家庭センター」の設置を推進し,すべての子育て世代を支援する方向性で「こども家庭福祉」を打ち出しているが,そうした取り組みはまだあまり知られているとはいえない.こうした現状をふまえ,本稿では,気軽に楽しくサポートを受けられる仕組みや,医療において家族支援をしやすい仕組みを作ること,一世帯あたりの人数や大人が家庭にかけられる時間数は数十年前と変わってきている現状を多くの人が理解しやすくしていくことの重要性を提起する.