2011 年 8 巻 p. 12-24
本稿では,西日本地域(大分県日田市中津江村地区)の過疎高齢者の生
活構造分析を, 1996年と2007年に実施した社会調査結果を用いて行った.
1) 人口減少率が高く,すなわち過疎の進行が深刻であり, 2) 高齢化率も
高く, 3) 高齢世帯が小規模化しているといった構造的に厳しい状況にあ
る中津江村地区において,高齢者が生活を継続し得る要因と,その変化の
方向性を検討した.
まず,過疎高齢者の生活継続の要因として, 1) 農業という継続性の高
い活動を持っており「働くことが生きがい」といった意識で続けている
こと, 2) 青壮年時から高齢期に至るまで切れ目のない形で地域集団,年
齢集団などへ参加しており集団参加の蓄積を通じて社会的役割を保持し
ていること,いわば参加を前提とした生活構造をもっていることなどを指
摘した.
しかし, 1996年と2007年の調査結果を比較すると,生活環境評価は交
通,買い物,社会福祉サービスなどの評価が落ち込み,地域意識は将来展
望の暗さが目立つ結果となった.また地域集団参加は不参加層が増加し
たが,その背景には人口減少と加齢による参加者の減少に加え,市町村合
併によって集団自体が消滅したことなどがあった.一方で,集落維持活動
は比較的維持されてはいたが,地域集団の衰退傾向の中で,過疎高齢者の
社会的役割の喪失,過疎集落の孤立化などに注意が必要であることを指摘
した.