2012 年 9 巻 p. 11-25
阪神・淡路大震災および, 2011年の東日本大震災の経験によって,私
たちは,復興論を,単に「減災J」+復旧・復興の枠に留めることなく,新
しい社会計画論や,長期的な社会再生論を考えるべきである.
本論文では, 《防災~復興》の時空間的連続性の中で,地域や社会が新
たに自立的に発展していくための〈創造的復興〉に関する新たな方法論の
実現を目指すための試論を展開する.
《創造的復興》という被災地が新たに自立した地域社会を再生・復興し
て行くには,財政出動を被災地の地域再生のプログラムに沿って行うため
には自由な公的資金が必要及び非公的復興資金の分析が必要となる.
残念ながら復旧・復興過程に関わる復興資金のあり方をめぐる研究は,
資金と事業や活動の全体を十分に把握していない.それが復興論と災害後
の新しい社会形成論と結びついてこれなかった原因である.
以下この点を論ずるため,新たに(災害時経済)という用語を準備したい.
そして,災害からの復旧・復興の過程にかかわる事業・サービス・支援・
自己努力等の活動を,行政的領域から社会的,私的な領域にまでわたって
把握し,その過程の特徴や課題点を詳らかにする.そして, この過程で生
み出されつつある,新たな市場経済とは別様な自立生活のための経済秩序
を見いだす基礎作業を行う.